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脳卒中回復後の社会参加を考えたい!

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我が国で脳卒中患者の動態調査は、2010年の国勢調査人口をもとに性および年齢調整を行った研究結果が報告されていますが、発症率は人口10万人あたり、脳卒中全体が166で、脳梗塞が107、脳内出血が42、くも膜下出血が15とされています。つまり、人口全体で言うと約29万人の方が発症しており、厚生労働省の報告によると脳卒中が死亡原因してあげられているのがおよそ12万人です。つまり、17万人の方は一命を取り留め、療養とリハビリテーションを受けている事になります。発症後1〜2週間は急性期とされ、亜急性期は2ヶ月程度、回復期は6ヶ月程度とされ、重点的なリハビリテーションを必要とする方は回復期リハビリテーション病棟に入院することとなります。それ以降を生活期とされ、在宅や施設での療養と人によっては仕事や家庭内役割を遂行するための社会復帰のためのリハビリテーションを続けることとなります。下図は、平成30年度の厚生労働省白書からの抜粋ですが、m RSで症候がないあっても明らかな障害はない方が約51%、軽度の障害がある方は17%です。歩行は介助なしに行える方は6%となります。

運転をしたいというニーズは比較的若い年齢層に多くあるため、この報告が全体を表せているものと思います。65歳以上の脳卒中発症者については正確な数値ではないのですが、70歳〜79歳の脳血管疾患による人口10万人あたりの死亡者数は371で、60歳〜69歳の年代のほぼ3倍に跳ね上がります。加えて、高齢になれば重症化しやすいということも加味していくと、70歳以上の方の運転の可能性は低いと予測できます。

図表1-2-6 脳卒中患者(18-65歳)の予後(図)

その中でも可能性が無いわけではないので、病状が安定した状態で医師の診断のもと運転の可能性を考えることはとても大切なこと思います。

運転免許は都道府県にある公安委員会(運転免許センター)で判定されますが、その際には一定の病気として脳卒中は明記されていますので、医師の診断書の提示を求められます。(詳しくは管轄の運転免許センターにお問い合わせください)病状が安定して再発のおそれがあるのか、てんかんなどの症状がみられるのかは担当医の判断となりますが、てんかん発作の場合、2年間の据置期間の中で再発がなければ運転免許の更新条件に該当しますので、事前に運転免許センターの安全運転相談にご連絡されてください。

さて、運転のニーズですが地方ほど高いことは良く言われていることですが、現実的に車がなければ生活に困ります。自分の住まう徳島県は正しくそうで、公共交通機関で移動するのは結構大変です。自宅から事務所までの移動を考えると徒歩で最寄り駅まで20分歩いてJRに乗って10分、そこから徒歩で15分です。バスはもっと大変で共にバス停は近くにあるものの直接の路線ではなく、一旦中心地まで行き、乗り換えて60分は必要です。このような状況は各地に共通していることと思いますし、それ以上に不便な状況にある地域も多いと思います。可能な限り運転できるかどうか見極めたいという思いは地方でリハビリを担当する療法士は強く受け止めているかも知れません。自分も作業療法士として35年目となりますが、多くの方の思いに接してきました。

まず、大切にしたいのは運転の可否より「納得して結果を受け止められたか」という事に尽きると思います。脳卒中患者の運転についての医療側の判断の基となるのが神経心理学的検査です。医師の診断を補うこの検査は机上で実施されるものが大半で、注意機能や記憶、空間の認知機能を測る検査などが主流です。運転に関係するとご本人は実感のない検査ですが、機能的には定量的かつ標準的に使用できるもので、一般化されているためある程度の指標となります。しかし、運転という行為からはかけ離れているので説明を受けても納得できるかどうかは別です。最終的に諦めという段階に納得を飛び越えてたどり着く事になる場合が多いのではないでしょうか?インフォームドコンセントという丁寧な説明による同意を求めることは何より大切なプロセスですが、生活がかかった状態ではなかなか納得に至らず悶々としていることもよく聞かれる話です。

では、「説得より納得」とするための方法は何があるかというと、実車評価といわれる自動車教習所で行われるペーパードライバー講習があります。法定的に意味付けられたものではなく、あくまでも任意で受講していただくシステムでご自身の負担も伴いますし、教習所側も受け入れ体制が必要となります。少し手足に麻痺があると改造車両が必要なのですが、どの教習所でもあるとは限らず、お近くの教習所にお問い合わせください。受け入れいただける場合は、後部座席で同乗していただきその様子を動画に納めていただくことお勧めします。後々に医師や専門職を交えた話し合いの中で重要な情報となると思います。自動車教習所の評価もいくつか課題があるので、全国的に病院と教習所が連携しているかどうかはお問い合わせいただきたいところです。

いろいろ課題はありますが、地域の連携は前進していると感じていますし、模索しはじめて作業療法士をはじめ運転リハビリに携わる専門職と職能団体の動きが始まっているようです。病院内で運転シミュレーターを導入して、評価の指標にされているところも増えてきました。実は弊社もHondaセーフティナビ(1画面)を創業時にご支援いただいたふるさと納税を活用したクラウドファンドを活用して導入していますので、是非ともご体験いただき動かさない車を用いた新しい評価である「停止車両評価」もご体験ください。停止車両評価については別のブログでご説明いたしますが、2014年に本田技研工業株式会社安全運転普及本部と立ち上げた四国運転リハプロジェクトで開発した手法で、全国の病院で導入が始まっています。開発者の一人として携わらせていただいた事に感謝を申し上げます。

詳しくは停止車両評価のブログでお伝えします。

 

 

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