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停止車両評価の実践について

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停止車両評価を導入いただく際にご準備していただきたいことをお伝えします。

まずは、合意が形成できているかどうかです。一番大事なことかと思いますので、実車の使用許諾やスク管理についての手順や対応方法などを施設の規定に合わせて話し合っていただくことになります。停止車両評価は動かさないまでも実際の車両を用いた評価ですので、車両の管理やご本人との安全についての取り決めなど書面で整理していただくことが必要かと思います。エンジンを始動させる場面があることも理解して明記していただきたいと思います。ご本人とご家族に同意をいただく手順を取られることが多いかと思いますし、ご本人とご家族の齟齬がないようにすることはとても大切です。

そして、被験者となるご本人の安全と健康管理も重要なポイントとなりますので、屋外の気温や天候、ご本人の体調などに配慮いただくこととなります。停止車両評価は一連の評価を通すと40分は必要となりますが、2回に分けて評価していただくことも問題は無いと考えています。評価日時を明記して、病院・施設等の対応可能な範囲で何度でも課題となるところを潰して行くイメージで良いかと思います。

さて、使用する車についてですが、病院や施設では法人所有の車両を使用されることが一般的かと思いますが、訪問リハビリなどの場合は本人所有の車両を用いて体験いただけるので抜群に納得度が高まります。病院等では車通りの少ない平地の駐車場を2台分用意いただけると評価可能です。また、実際の評価場面では評価者1名で対応できるものですが、ご家族等への提供資料として動画を用いた場合、撮影者を合わせると2名体制が望ましいです。疾患別リハビリテーションでは単位ですので、例えば、院内駐車場にて行うとした場合、作業療法士と言語聴覚士の2名で評価時間3単位(交代しつつ)を用いて実施していただき、その後のフィードバックとして動画で再確認することに1単位を活用することも可能かと思います。訪問リハでは、一人になるためご家族にお手伝いいただくことも必要かと思いますし、同時に場面を確認できるため納得が得られやすいと思います。

使用する機器ですが、車両感覚を測定するためにスケールとマーカーが必要となります。屋外での使用のため弊社のPREDRスケールセットはアルミ製でクロススケールが740グラム、マーカーが340グラムですので、風の影響を受けず正確な車両感覚を測定することが出来ます。プラスチックや厚紙では屋外の使用には不向きですので、専用のスケールのご使用を推奨しています。是非、ご検討ください。

 

準備が整えば、停止車両評価のスタートです。手順を説明します。

項目として「車に乗ってください」という指示から始まります。予め移動に杖や車いすが必要な方のイメージは出来ているかと思いますので、脳卒中の後遺症で運動麻痺がある場合、ドアの開閉での身体の固定や足の運びなど確認して下さい。当然ですが、キー操作もしていただきます。そして、着座姿勢の確認をしていきますし、特に停止車両評価では車両感覚の測定時にミラーが合っていなければあいまいな数値となってしまうため、しっかりミラー位置を合わせます。内側に車体が1/3程度は映り込み水平が保たれていることとなります。(写真のスケールをもっている場面で、検査者の顔が見える位置が正しいです)

運転姿勢をみるときは、ドアを開けて身体全体が見えるようにしてください。この評価を通して運転席や助手席の窓は全開にしておいてください。不用意な操作ミスを防ぐために、ハンドル操作やペダルの踏み換え時は検査者は助手席で確認することもあります。

シフトレバーやウィンカーなどの操作を確認してください。特に脳卒中では手の障害がある場合、ウィンカーが難しくなるので改造の必要性と合わせて話し合うタイミングでもあります。右足が不自由な場合も同様、左足ペダルに変更することも想定して評価に臨むと課題予測が出来ていることで、スムーズな確認ができます。また、ハンドル操作は頸髄損傷者にとっては大変困難な場合もありますので、操舵力低減装置付の車両を購入することも検討しなければなりません。私が臨床10年目ぐらいまでは油圧式でしたが、現在は電子式で後から変更することはできないからです。ハンドルは左端から右端いっぱい、そして逆方向ともに5秒以内を推奨しています。2と3/4回転する車両がが多いとおもいますが、車種によって回転数はことなりますが、およそ5秒以内にとどまると考えています。ペダル踏み換えは0.6秒〜0.75秒を標準としていますが、実際のところストップウォッチで測定するのは至極困難です。実際の場面では、1秒を一つの目安にしておく程度が良いでしょう。詳しく計測して数値の推移を確認したい場合は、弊社の開発したPREDRペダルテストをご活用いただくとコンマゼロ秒の確認が可能となります。(別売:ロジクールG29ドライビングフォースとWindows10パソコン必要)

視野の確認となりますが、脳卒中の左半側無視や同名半盲などの視野と認知の障害がある方は慎重に評価を進めていだきたいところです。右側の視野から左側の視野へと評価は進めますが、被験者は前方注視してマーカーを耳孔のところに合わせ、そこから10㎝/秒のスピードで前方へと動かしていきま、周辺視野にぼんやり写ったら手を上げてもらいます。視野はおよそ170度程度ですので予め検査者も自分の視野を確認しておきましょう。

次にもっとも停止車両評価で特徴的な車両感覚の測定となります。スケールを車体側面延長線と前面延長線上に合わせ、コーナーであることを示し、右側方から右前へ、左側方から左前方へと順に進めていきます。前後の距離感が難しいため、側方からの実施として各方向2回ずつ実施し平均値を記載します。左右前方の車両感覚は目視、左右後方の車両感覚はサイドミラーで確認してもらいます。冒頭にも書きましたが適切なミラー調整があってはじめて正確な車両感覚が測定できるので、運転姿勢を含めしっかりと調整してください。以上で、一連の停止車両評価は終了となりますが、この流れを動画に収めていただき、主治医の先生やスタッフのみな様、そしてご本人とご家族様と一緒に振り返っていただければと思います。シミュレーターよりリアルに運転の体験をすることができるのがこの評価の醍醐味ですし、ダイナミックな自己理解へとつながるところでもあります。ご本人が運転能力を過大評価することなく、不足する能力について回復するものであるか、改造によって補えるものであるのかを専門職と一緒に検討していただき、納得できる結果になることが何より大切なことと考えています。

体験を通じて自己理解を深め、課題解決の可能性を考えて、最終的に納得していただくことが資源と時間を有意義にかつ安全な社会参加につながるはずです。また、高齢ドライバーの方の社会問題にも、運転能力を見極め返納時期を定める指標としても活用いただけるものと考えています。これからの超高齢化社会で、運転寿命を適切に捉え、延伸できるものは延伸するし、見極める時期を考えることができるのではないかと考えています。

 

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    この記事を書いた人

    岩佐 英志

    リハビリテーション専門職である作業療法士として病院や教育機関で31年勤務し、2019年に弊社を設立。本田技研工業株式会社安全運転普及本部と2014年に始動した四国運転リハプロジェクトで運転能力の捉え方と停止車両評価を開発したことは現在の事業に直結しています。私自身、ポジティブな生き方を大切にしています。

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